コーパスを使ったことがありますか。コーパスは、言葉について考えるときにとても便利なツールで、色々な使い道があります。ここでは、外来語を例に、コーパスでわかる言葉の頻度(使用回数)から、言葉の定着の度合いを知る方法を紹介します。
わかりやすい言葉で伝えたいという思いは多くの人が持っているでしょう。特に、外来語(カタカナ語)には、日本語に定着していないわかりにくい言葉が多いので、使ってよい言葉か、避けた方がよい言葉か、吟味することが大切です。でも、個々の外来語が定着しているか定着していないかを判断するのは、むずかしい場合もあります。
例えば、「進学に向けた受験のプランニング」と言おう(書こう)として、「プランニング」という言葉が気になったとします。「計画立案」とか「計画を作る」などに言い換えた方がわかりやすくなると思う一方で、丁寧に立案することを示すには、「プランニング」の方が適しているようにも思われます。「プランニング」という言葉は、日本語に定着しているのでしょうか。
ある言葉が定着しているかどうかは、コーパスの頻度を調べることで見当をつけることができます。現代の書き言葉の縮図になるように、様々な文章が集められているコーパス(『現代日本語書き言葉均衡コーパス』)を検索するツール『少納言』を使ってみましょう。『少納言』の検索窓に「プランニング」と入れて、検索ボタンを押すと、232件という結果が示されます。これが、この言葉の頻度です。この数字だけでは判断が付きませんが、明らかに定着している言葉や、定着していない言葉の頻度を調べて、それらと比べてみることで、定着しているかどうか推定することができるでしょう。意味の近い外来語で定着しているものには、「プラン」や「プロジェクト」などが思いつきます。また、定着していないものには、「スキーム」や「フレームワーク」などが想定されます。
これらの外来語の頻度を『少納言』で調べると、「プラン」5889、「プロジェクト」4483、「スキーム」287、「フレームワーク」262という数字が得られます。「プランニング」の232という数字は、「スキーム」や「フレームワーク」とほぼ同程度ですから、定着していないと推定されます。だれにとってもわかりやすい言葉を使うことを重視するのであれば、使用を避けた方がよい外来語だと言えるわけです。
もっとも、「プランニング」は、定着している「プラン」がもとになった言葉なので、そこから類推すれば意味もむずかしくないと考えることもできるかもしれません。そのように考えて、あえて言い換えはせずに、そのまま使うという選択をすることがあってもよいでしょう。
よりよい言葉選びを行うには、よく吟味する過程が大切です。そうした吟味の作業に役立つ情報を、コーパスの頻度は提供してくれるのです。
参考サイト:少納言 KOTONOHA『現代日本語書き言葉均衡コーパス』https://shonagon.ninjal.ac.jp/ 2026年4月7日確認
参考動画:コーパスを使ってみよう(中高生日本語研究コンテスト レクチャー動画) https://www.junior-jpling.org/%E5%AD%A6%E3%81%B3%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%B1%8B/#%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E5%8B%95%E7%94%BB 2026年4月7日確認
(田中 牧郎)